動物を使わない試験法は、新たな化粧品と原料の安全性を保証するための、最新の科学技術を象徴するものです。多くの場合、このような動物実験の代替法は、時代遅れの動物実験よりも、より安価で迅速かつ、信頼性が高く、より人に適用しやすく、人体においてどのように化粧品の物質が反応するかをより適切に評価できる試験結果を提供できます。
これまで40以上の動物を使用しない試験の有効性が評価されています。例えば、EpiDermやEPISKINのような人間の肌を再構築したものを用いた皮膚試験もいくつか存在し、また、太陽の光により誘発される光毒性のための「3T3 NRU」試験や、目の腐食性試験のBCOP試験等があります。
動物を使用しない試験に完全に置き換えるために
動物を用いた単純な試験の中には、単細胞培養で代替できるものもあります。しかし、より複雑な動物実験に関しては、人体全体に及ぼす効果を検討する必要があるため、総合的な試験戦略が求められます。単一試験一つで代替するのではなく、分子、遺伝子、細胞、組織、それぞれのレベルの試験の組み合わせで代替します。科学者は、細胞の種類(脳、皮膚、肺、肝臓等)によって人体を区分けし、それぞれの各細胞ごとに個別に組織培養で試験を実施します。それから、人体全体でのシナリオを再現するため、最先端のコンピューターモデルを用いて、試験結果を実世界で生きている人間において予想される影響に当てはめるのです。
有効であると評価されている代替法や規制当局等に導入されている代替法の完全なリストは、HSIのパートナーであるAltTox.orgからご覧になっていただけます(英語のみ)。.
バリデーションと規制当局による導入
行政や企業は、科学的に「有効であると評価された(バリデーションが行われた)」代替法でないと導入しません。バリデーションの目的は、皮膚や目に刺激を与える化学物質を特定する等、試験が意図した目的のために適切であることと、同じ実験室内と異なる実験室において、一貫した結果を出すことができることを示すことです。試験方法のバリデーションの基準や工程は、ヨーロッパ(CVAMs)、アメリカ、日本、韓国及びブラジルの代替法評価センターや、グローバルなレベルでは経済協力開発機構(OECD)により開発されています。
バリデーションや規制当局による導入には時間とお金がかかります。時には、一つの代替法のために、10年以上、何百万ドルもの資金がかかる場合もあります。しかし、代替法がOECDのテストガイドラインに正式に導入されると、OECDの加盟国全て(現在34カ国)と「データの相互受理」の方針の支持者は、試験結果について疑問を持たずに受け入れなければなりません。
化粧品、化学物質及び医薬品のグローバルなガイドラインを近代化するためのHSIの取り組みの詳細については、こちら をご覧ください。また、安全性科学と保健医療分野における動物を用いない試験方法に関する、日本語の報告書もご覧ください。