ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナルが中国の「2015年毒性試験代替法とトランスレーショナル・トキシコロジー会議」に資金援助

最新の動物を用いない試験方法への世界的な移行において、中国が主導的な役割を担う可能性をHSIが指摘

ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル


  • 会議での発表者の様子。HSI

毒性学における21世紀の動物を用いない代替法について協議するために、中国西安において、500名以上の毒性学、環境科学、薬理学及び化粧品関連の科学者が世界中から集まった。会議はヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル(HSI)及びユニリーバ―、ロレアルやシェル等の企業の資金援助により実現し、中国毒理学会の毒性試験代替法及びトランスレーショナル・トキシコロジー委員会及び中国環境変異原学会の毒性試験及び代替法委員会により主催された。HSIは、有害転帰経路(AOP)を普及し、研究や試験において動物を使用しない方法への代替を推し進めるために世界各国の関係者と取り組みを進めている。

中国は現在複数のセクターにおいて規制要件が見直されており、科学者らにとっては、科学が提供しうる最新のヒト生物学を基盤とした技術を反映したものに試験要件を現代化する絶好の機会となる。経済協力開発機構(OECD)により評価された最新のインビトロの試験方法は未だに幾つかの中国の省庁に受け入れられておらず、この状況は、未だに中国の規制の枠組みにおいては必ずしも人間への影響を適切に評価できない方法が主流であることを意味する。世界中で起こっている毒性試験の革命を受けて、代替法の受け入れは加速することが予想される。質的なエンドポイントに焦点を当てた、スループットが低く、費用や時間もかかる従来の動物実験を基盤とした(インビボの)毒性学のパラダイムから、機械的かつ量的なパラメーターとロボットによる高スループットのスクリーニングを用いた、AOP(有害性転帰経路)を基盤としたインビトロの毒性経路アッセイへの移行が進んでいる。

HSIの研究毒性学部門のディレクターのトロイ・サイドルは次のように述べている。「生命科学技術の急速な発展は、毒性学における代替法やトランスレーショナル・トキシコロジーにおいて、研究の結果の向上につながるだけではなく、実践や倫理面でもプラスになるような大きな進歩につながりました。これらの最先端の技術は、化学物質、医薬品や化粧品等の安全性評価に活用される機会が増えています。中国も他の革新的な経済圏に加わり、最新の動物を用いない試験へのパラダイム転換に貢献できる位置にあり、中国において将来このような科学的イベントが数多く開催され、中国における代替法の受け入れが促進されることを願っています。」 

会議の出席者は、21世紀の毒性学試験に関する現状や戦略、AOPの枠組みとリスク評価、毒性学における代替法の開発と活用や、トランスレーショナル・トキシコロジー等、様々な課題に関するワークショップに出席した。中国、アメリカ、欧州連合、イギリス及びOECDの専門家らが51件の報告を発表し、国際的な学術のやり取りのための理想の場となり、また科学者、業界関係者や行政関係者の間で、これらの課題に対する議論を深める機会となった。

TT21/AOP 中国におけるロードマップ」という特別シンポジウムも開催され、現存する代替法やAOPのパラダイムの中国規制当局の受け入れの加速の必要性について議論した。シンポジウムには100名以上の参加者が出席し、全身毒性に対する動物を使わないアプローチについて協議され、中国のAOPロードマップを開発することに焦点を当てたTT21C/AOPのワーキングチームの発足に至った。 

HSIの中国規制関連アドバイザーのTina Quは次のように述べている。「この会議は中国の毒性学に対するアプローチにおいて画期的な出来事で、代替法やトランスレーショナル・トキシコロジーの開発や活用のために中国国内と世界的な取り組みの橋渡しとなりました。試験方法の開発や受け入れの促進のための国際協力の機会に伴い、将来中国がこの分野において主導的な役割を担うことを期待しています。従来の動物を用いた研究から離れる科学的及び倫理的な背景が中国でも受け入れられつつある中、中国の21世紀科学までの道のりをお手伝いできることを楽しみにしております。」  
 
問い合わせ: Wendy Higgins, whiggins@hsi.org +44 (0)7989 972 423

 

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