ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル


ワシントンDC/東京(2020年6月26日) – ゾウの保護を求める国内外の諸団体は、本日、東京都に対し、小池百合子知事のリーダーシップのもと、着手済みの東京都内の象牙取引の評価をやり遂げることにより、都内における象牙取引の問題点を検証し、その対策を示すことを求める。これは、東京が「ニューノーマル」を覚悟し新型コロナウイルスに順応的に対応する中、ゾウを保護するために既に行っていた要望を再度行うものである。東京都は、4か月にわたって中断している「象牙取引規制に関する有識者会議」を速やかに再開されたい。

アフリカゾウが象牙目的で密猟され続けている一方、日本政府は合法化された象牙の国内取引を適切に規制することに失敗してきた。表面的な規制が抱える抜け穴は、違法取引を助長している。全形が保持された牙は、合法性を確認するための措置を実質的に欠いたまま、数十年間にわたって販売され続けた。日本では、未加工象牙の80%がハンコに加工されている。また、日本による象牙取引は、他国による取引禁止の実効性を弱め、国際取引上の問題も引き起こしている。2018年以来、日本から輸出された象牙が中国の現地当局によって押収されるケースが、少なくとも65件確認されている

ヤフー、楽天、イトーヨーカドーおよびイオンを含む日本の大手小売業者は、象牙の違法な国内取引および輸出に加担することのないよう、既にその販売を停止している。

2020年1月、東京都は、都内における象牙取引の現状およびそれに対する規制内容を検証し、その評価のもと東京都がなすべき対策を示すため、新しい委員会を設置することを発表した。「有識者会議」の8名の専門家は、同月に一度目の会合を持ったものの、それに続く会合と、当初5月と期待された政策の公表は、やむを得ず延期されている。同年3月30日、30の内外の環境保護団体および野生生物保護団体は、知事に対し、東京都の先進的な行動を称賛する書簡を送っている

「ヒューメイン・ソサエティー・インターナショナル」の野生生物プログラム上席専門員であるアイリス・ホは、次のように述べる。「世界中の政府が新型コロナウイルス蔓延に対する取組みに奔走している中、不幸なことに密猟は『ロックダウン』されず、密猟者はこの機を利用して、何の咎めもなく野生動物を殺し続けています。そのことは、つい最近、1日で6頭ものゾウが殺されたエチオピアの事件で裏付けられています。人類が自然との関係を見直すよう迫られる、新型コロナ後のグローバルな野生生物保護にとって、東京都による象牙の商業取引禁止は、まさに待望の積極的な流れをもたらすことになるでしょう。」

東京都に拠点を置くNGOである「トラ・ゾウ保護基金」の事務局長である坂元雅行は、次のように述べる。「これから私たちは『ニューノーマル』時代の新しい国際都市・東京で生き、活動することになります。それは、 国レベルで遅れをとるデジタル化の加速等によって都市の社会経済機能の強化と人々の安全な生活を同時に確保しつつ、グローバルスタンダードにしっかり向き合う都市であるはずです。ゾウの苦難と国際社会からの批判にもかかわらず、もっぱらハンコを作るために続けられてきた象牙取引に終止符を打つこと。それは、今だからこそいっそう、都民が歓迎することではないでしょうか。」

昨年、東京都における象牙市場を閉鎖しゾウを象牙取引から守るための取組みに参加するよう、 デブラシオ  ニューヨーク市長が小池知事に直接呼びかけた。中国、米国、英国など世界の主要な象牙消費国は、既に国内象牙市場閉鎖のための措置をとっている。「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」(ワシントン条約)第18回締約国会議において各国は、日本のように合法的な象牙市場を開いている国に対し、その市場が違法取引の一因になっていないと保証できるだけの措置(がとられているのかどうか)について報告させることに合意している(締切は今月)。

「環境調査エージェンシー(EIA)」の上級政策アナリストであるエイミー・ゼツ・クロークは、次のように述べる。「東京のゾウを保護するための先進的な努力は、日本国政府が、ゾウではなく象牙産業を守るという態度を取り続ける中、大いに歓迎できるものです。国際社会は、東京都が象牙取引を見直すという公約とその実行を最後まで成し遂げられることを待ちわびています。小池知事と東京都におかれては、都内における象牙販売をできる限り速やかに禁止する措置をとっていただくよう、お願いいたします。」

お問合せ先:

坂元雅行, 認定NPO法人トラ・ゾウ保護基金, 03-35595-8088, yukisakamoto@jtef.jp
Nancy Hwa, Humane Society International (U.S.), 202-596-0808 (cell), nhwa@hsi.org
Lindsay Moran, Environmental Investigation Agency, lmoran@eia-global.org

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Andrei Tchernov/iStockphoto 

東京—科学上の目的のために利用される動物に関する3Rの理念、動物実験の「代替(replacement)、削減(reduction)、苦痛の軽減(refinement)」が提唱されてから60周年に当たる今年、動物との共生を考える連絡会とヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル(Humane Society International, HSI)が、動物実験代替法の研究者や実験動物の専門家のなど、動物実験の課題に関する様々な関係者が執筆した記事を収載した新たな資料集『資料集:動物実験のあり方を考える』を公表した。

動物との共生を考える連絡会とHSIは、今年成立した動物の愛護及び管理に関する法律(以下、動物愛護法)の改正に向けて、所轄省庁や国会議員に対して共同で働きかけを行っていた。改正動物愛護法には、附則において実験動物について引き続き検討する旨が含まれ、動物との共生を考える連絡会とHSIは、今回の改正後も引き続き、関係者に対して働きかけを行い、社会の啓発を行うために共同作業を進めている。

資料集には、アメリカやヨーロッパを始め、世界各国における動物実験に代わる動物を用いない研究・試験方法などを促進・義務化するための法令や政策について包括的な解説を提供する記事も含まれる。このような政策上の取り組みに共通するテーマとして、代替法の利用の義務化(3Rを法令に組み込む)、科学的に不必要であるとみなされる動物の利用の禁止(例えば、化粧品の動物実験など)、そして動物の利用の代替と削減を達成するための指標やタイムテーブルの立案などが世界的動向として見られることが指摘されている。

動物との共生を考える連絡会の青木貢一代表は次のように述べている。「本資料集は、世界各国の規制の状況や、動物実験や実験動物の関係者のそれぞれの状況や立場を概観するものです。先の動物愛護法改正において、実験動物について検討を続ける旨が附則に含まれましたが、様々な角度からの現状に関する情報をまとめたこの資料集が、すべての利害関係者が参画できる健全な対話のきっかけになればと願っております。」

HSI研究毒性学部門副部長のトロイ・サイドルは次のように述べている。「世界中の多くの国が、動物実験にかかわる規制や、動物を用いない最新の科学技術の取り入れを促進するための法令を設けており、この資料集により、このような世界的動向に関して日本の関係者の皆様に最新の情報を提供できればと思っております。このような規制の動向の一例が、化粧品業界に起こっている変革です。現在、既に39の市場で化粧品の動物実験の実施や動物実験された化粧品の商取引が禁止され、アメリカやカナダをはじめとしたその他複数の国でも同様の法案が検討されています。これらの規制は、ヒト生物学を基盤とした動物を用いない代替法に移行する原動力となっているのです。日本の関係者にはぜひこの資料集を、改正動物愛護法の附則にかかわる今後の議論の糧にしていただければと願っております。」

資料集は、今後随時関係者に直接手渡される予定であるが、一般の方も無料でこちらから全文をダウンロードすることができる。

以上

問い合わせ:

HSI (日本): 山﨑佐季子, syamazaki@hsi.org (日本語・英語対応可)

動物との共生を考える連絡会: 青木貢一 info@dokyoren.com

ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル(Humane Society International, HSI) 及びそのパートナー団体は、世界最大級の動物保護団体です。HSI は 25 年以上にわたり、科学、アドボカシ―、教育及び実践プログラムを通して全ての動物の保護に取り組んできました。「世界中の動物に畏敬の念を示し、動物虐待に立ち向かう」ウェブサイ ト― hsi.org/

動物との共生を考える連絡会は、「人と動物が共に幸せに暮らせる社会づくりを目指す」という趣旨に賛同した団体・法人・個人の連合体であり、「動物の愛護および管理に関する法律」を国民に周知し、同時にこの法律をより良いものに改正するために、管轄官庁や行政自治体、国会議員などへのロビー活動などを行う連合体です。ウェブサイト –  https://www.dokyoren.com/

デブラシオ市長の小池知事への書簡には、 東京で2020年夏に開催される競技大会に際し、 象牙が日本から米国に違法に持ち帰られることへの懸念の高まりが反映

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仮訳プレスリリース

 

ワシントン(2019年5月17日)-ビル・デブラシオ ニューヨーク市長が、小池百合子 東京都知事に対し、世界最大の象牙市場を擁する日本で象牙取引を終焉させる取組みを支持するよう要請した。影響力を高めつつある世界のリーダー・市民選出の公職者の一人に数えられるデブラシオ市長が、とりわけ2020年夏の競技大会の開催が迫るこの時期に、全ての象牙販売を禁止し、違法な象牙取引を撲滅することを求めているのである。

 

デブラシオ市長は、小池知事に送った手紙の中で、次のように述べている。

「翌年の五輪の主要テーマは、『持続可能性』とされ、これが『より良い未来へ、ともに進もう。』というコンセプトによって、五輪の行動規範に反映されています。」「数百万の人々が東京を来訪するに際し、厳格な象牙規制のある国々からも、多数の来日があります。これらの旅行者と競技参加者は、自国へ持ち帰るお土産にしようと、それとは知らずに日本の法令に違反して象牙の違法取引に手を染めてしまうかもしれません。そうなれば、無用な苦痛を味わい、自らのオリンピック体験に傷をつける結果となるのです。」

 

ニューヨーク市と東京都は、この数十年、経済面および文化面で緊密な関係を築き上げてきた。ニューヨーク州は、象牙製品の販売を禁止している米国の9つの州のひとつでもある。ニューヨーク市は、広く知られているとおり、2015年にタイムズ・スクエアで、2017年にセントラル・パークで、押収象牙の粉砕処分を行った。一方の日本では、中国が象牙取引を禁止した2018年の後に世界最大となった象牙市場が維持されており、両者は対照をなしている。

 

ヒューメイン・ソサエティー・インターナショナルの野生生物プログラム上席専門員であるアイリス・ホは、次のように述べる。「2020年五輪は、日本にとって世界の舞台で、自らが名声を博しつつ責任を伴ったリーダーであることを示す重要な機会となります。象牙取引が禁止されないままに夏の競技大会が開催されれば、数百万人の旅行者に、持出し違法な象牙土産に手を出す機会を与え、国境を越えた象牙の違法取引という惨事を招くことになるでしょう。我々は、象牙取引よりもゾウの存続を選択することで、『より良い未来へ、ともに進もう』とすることができるのです。」

 

ヒューメイン・ソサエティー・米国のニューヨーク州部長であるブライアン・シャピロもまた、象牙の違法取引に対してゾウをより万全に保護しようとする、この取組みを称賛する。

 

トラ・ゾウ保護基金の事務局長である坂元雅行は、次のように述べる。「日本では象牙の80%がハンコを大量生産するために消費されます。しかし、象牙は決して伝統的な印材ではありません。生きたゾウを守るためとあれば、東京都民が、象牙の販売禁止にもろ手を挙げて賛成することに疑問の余地はありません。」

 

環境調査エージェンシー(EIA)の上級政策アナリストであるエイミー・ゼツ・クロークは、次のように述べる。「日本の象牙取引は、米国、中国その他の国における象牙需要を刺激し、そこで実施されている国内象牙取引禁止の効果を削ぐおそれがあります。アフリカゾウ保護に対する責任を真に果たすためには、2020年に東京で開催される競技大会に数百万人のアスリートと観客が来日する前に、日本は国内象牙市場を閉鎖しなければなりません。」

 

デブラシオ市長からの書簡に加え、5月7日には、37名の米国下院議員が、杉山晋輔 在米国特命全権大使に対し、存続の危機にあるゾウを保全するために、日本が世界の国内象牙市場を閉鎖する取組みに加わるよう求める書簡を送っている。この書簡は、マデリーン・ディーン議員(ペンシルベニア州、民主党)、ピーター・キング議員(ニューヨーク州、共和党)を中心に取りまとめられ、賛同者には下院外務委員会議長のエリオット・エンゲル議員(ニューヨーク州、民主党)も含まれている。

 

背景事実

  • 日本には、公式に発表されている数としては世界最大となる、計1万6000以上の象牙製造業者、卸売業者、小売業者が存在する。
  • 2011年から2016年にかけて、日本から中国へ輸出された2トン以上の象牙が、中国当局によって押収されている。
  • 日本の象牙市場は、国境を越えた違法な象牙取引を促進し、中国による法執行の効果を削いでいる。
  • アフリカゾウの生息国を含むアフリカ32か国から成る「アフリカゾウ連合」は、日本に対し、国内象牙市場を閉鎖するよう訴えている。
  • 多数の国および地域、例えば米国、英国、フランス、ルクセンブルグ、ベルギー、中国、香港、台湾などが、国内象牙取引の禁止または規制を、宣言または実施している。

象牙取引およびゾウの写真について

リリースの電子ファイル(英語版のみ)には、写真ライブラリへのリンクが張られています。ご希望の方は、「ご連絡先」のいずれかへ、e-mailにてご連絡ください。

ご連絡先

  • Humane Society of the United States: Rodi Rosensweig, 203-270-8929, RRosensweig@humanesociety.org
  • Humane Society International: Nancy Hwa, 202-676-2337 (direct), 202-596-0808 (cell), nhwa@hsi.org
  • Environmental Investigation Agency: Lindsay Moran, 202-483-6632,

lmoran@eia-global.org

認定NPO法人トラ・ゾウ保護基金:坂元雅行, 03-3595-8088, yukisakamoto@jtef.jp

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