最新ニュース: 動物実験を大幅に削減する施策に、オバマ大統領が署名

ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル


  • この法案に含まれている新たな文言は、化学物質、農薬、殺生物剤、化粧品やその他の有害物質の安全性の担保のためのリスク評価における動物実験離れを加速化させることは確実である。 写真はiStockphotoより

今日は大変光栄なことに、Humane Society Legislative Fundの同僚Sara Amundsonとともに、有害物質規制法(TSCA)改正法の大統領の署名式に参加させていただきました。今日、法律の成立のための最終手続きがとられたことにより、化学物質の利用を規制してきた40年前に成立した連邦法がアップグレードされ、広域の環境や健康保護関連の法令としては初めて、動物実験を最小限に抑え、代替法や、代替法を用いた戦略の開発と活用を優先するような議会の明確な判断が反映されました。

法案の動物実験に関する箇所は、上院議員であるCory Booker議員(民主党、ニュージャージー州)、David Vitter議員(共和党、ルイジアナ州)、Tom Udall議員(民主党、ニューメキシコ州)、Jeff Merkley議員(民主党、オレゴン州)、Sheldon Whitehouse議員(民主党、ロードアイランド州)、上院環境・公共事業委員会委員長のJim Inhofe議員(共和党、オクラホマ州)及び有力委員であるBarbara Boxer議員(民主党、カリフォルニア州)により支持され、長い期間にわたり協議されていた案件でした。この法案に含まれている新たな文言は、化学物質、農薬、殺生物剤、化粧品やその他の有害物質の安全性の担保のためのリスク評価における動物実験離れを加速化させることは確実です。このため、この施策が成立するように働きかけていた政策立案者の多くは今日の式典に出席し、成立を祝いました。

オバマ大統領が法案に署名したことにより、21世紀の科学を受け入れ、コストが高く、実施に時間がかかり、ヒトへの影響の予測力が低いことが多い、時代遅れの動物実験からの移行に引き続き取り組むように、環境保護庁に対して議会から明確な命令が出たことになります。最近、環境保護庁が、農薬の有害性評価について大幅に動物実験を削減し、現在内分泌物のスクリーニングプログラムにおいても動物実験を代替できるように取り組んでいるという記事を書きました。また、2016年には、環境保護庁は、農薬の製剤に対する経皮急性毒性試験を免除する提案を公表しました。

このような動きがグローバルであることは確実で、第一線における進展は様々な地域で起こっています。2013年に欧州連合が化粧品の動物実験の実施と動物実験された化粧品の商取引を禁止し、その次の年にインドが後に続きました。最近では、さらにオーストラリアが後に続くことを表明しました。アメリカを含む34か国の加盟国から構成される経済協力開発機構(OECD)は、安全性評価において最新かつ最良の技術やアプローチを使うという概念を採用し、国際舞台において動物実験からの移行を促進させることに取り組んでいます。

長い間、動物実験がリスク評価の一部となっていたその他の領域においても進展があります。2012年には、ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル(HSI)のヨーロッパチームが、最大5割近く動物実験を削減できるように、農薬と殺生物剤のリスク評価における試験要件を改正するための働きかけに成功しました。また、ブラジル、カナダ、EU及びインドにおいて、働きかけにより、一年間の犬を用いた毒性試験の要件削除に成功しました(アメリカでは、この要件は2007年に削除されています)。

ここ一年間、HSIEUに対して、化学物質を規制する法令において、皮膚刺激性、眼刺激性、皮膚アレルギー、経皮急性毒性などの試験における動物実験代替法の採用と、生殖毒性試験における動物実験の削減を求めて働きかけていました。これにより、これらの苦痛を伴う試験から2600万匹もの動物を救うことができるとされています。また、これに関連して、インドの保健省は、医薬品を新たに輸入する際の重複した動物実験を禁止しました。

全体的に、倫理上の懸念から動物実験を廃止・削減しようする動きと、より良い選択肢を増やす新たな技術の活用が、安全性試験や医薬品の評価の領域において新たなパラダイムを切り開いているという流れは、世界的なものです。これが人道的な経済の営みであり、化学物質に関する新たな法令は、我々が目指す変化にとって大きな進展です。様々な目的のために動物に毒物を与えるという長い間使われてきた方法は、徐々に時代遅れになってきており、より良い結果を得られ、動物も犠牲にしない、ヒト生物学を基盤とした方法にとって代わられるでしょう。

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