ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル


ウェリントン— #BeCrueltyFree ニュージーランドの2年間に渡るキャンペーンの末、ニュージーランドは増加する、残酷な化粧品の動物実験を禁止している進歩的な国の仲間入りに向けて、大きな一歩を踏み出した。ニュージーランド緑の党のモージョ・メーザーズ議員により提案された動物福祉法の改正案に近い法改正が可決され、ニュージーランド国内で化粧品の動物実験が二度と行われてほしくないというニュージーランドの消費者や化粧品企業の決断が反映された形となった。

この動物福祉にとって節目となる出来事に、ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル(Humane Society International, HSI)New Zealand Anti-Vivisection Society及びHelping You Help Animalsにより率いられている#BeCrueltyFreeニュージーランドキャンペーンが大きく貢献した#BeCrueltyFree キャンペーンはメーザーズ議員と密接に協力し合い、ラッシュ、アンティポディース、 Wendyl’sKester Black等の複数の化粧品企業や、ミシェル・ラングストーン(テレビドラマ「The Almighty Johnsons )Sam Bunkall (テレビドラマ「Shortland Street)、ネットボールのチャンピオンのIrene van Dykeや、アンナ・コディントン、MC Tali、ティキ・ターネー、Flip GraterRosa DubBrockaflower及びクイーンの伝説のギタリストのブライアン・メイ等のミュージシャンを含む著名人からの支援を獲得した。意識調査においては、89%のニュージーランドの消費者が化粧品の動物実験の禁止を支援しており、100,000人が#BeCrueltyFree の請願書やe-カードに署名をした。

実験動物のために、このような勝利をつかみ取れるよう、ご支援をお願いします..

HSI#BeCrueltyFree キャンペーン・ディレクターのクレア・マンスフィールドは次のように述べている。「ニュージーランドの政治家が化粧品の動物実験の禁止を可決し、重要な第一歩を踏み出したことを嬉しく思います。動物福祉にとって、また思いやりのある消費者にとっては記念すべき瞬間で#BeCrueltyFreeキャンペーンにとっては大きな成果です。」

#BeCrueltyFree キャンペーンの働きかけにより、さらにオーストラリア、ブラジル、カナダ、台湾及びアメリカにおいて禁止の法案が検討されている。これらの国における働きかけも化粧品業界から動物実験を根絶するためのグローバルな取り組みの一部である。化粧品の動物実験では、鎮痛の処置を行わないまま、大量の化学物質をウサギやモルモット等の動物の目に点眼したり、皮膚に塗布したり、強制的にのどに流し込んだりする。改正動物福祉法では、化粧品の完成品や化粧品のみに使われる原料に対する動物実験が、ニュージーランド国内全域で違法になる。今回の禁止では、化学物質関連の法律やその他の規制体制において同時に規制されているいわゆる「二重用途」の原料は適用外であり、また海外で動物実験された化粧品の輸入販売も制限されないため、これらの抜け穴に対応することが#BeCrueltyFreeの次の目標となる。

#BeCrueltyFree ニュージーランドのスティーブン・マンソンは次のように述べている。「これはニュージーランドにとって、化粧品の動物実験から遠ざかるという国際的な動きに追い付く、プラスとなる一歩です。次の段階として、政府が、動物実験が実施された化粧品の輸入販売を終わらせてくれることを願います。そうすることにより、世界中で化粧品の動物実験を終わらせる動きにおいて全面的に役割を果たすことができます。」

以上

問い合わせ:

 

医療の進歩のために、「シャーレ内のヒト疾患(human disease-in-a-dish)」 等の最先端の技術への投資が必要

ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル


  • Stock

神経科学の権威で自閉症が専門のAlysson Muotri教授によると、自閉症スペクトラム障害(ASD)に対する理解や治療法の開発は、信頼性の低い動物モデルが原因で遅れており、「シャーレ内のヒト疾患(human-disease-in-a-dish)」等の最先端の研究技術への代替により恩恵を受ける分野である。 

ASD は世界的にみても重大な健康問題であり、近年では、実験室において遺伝子組み換えマウス等の動物で人工的に症状を作り出して実施する研究が盛んであり、40年以上もの間研究が行われ続けてきた。それにもかかわらず、有効な治療法は発見されていない。「Biological Psychiatry」 という学術誌に掲載された論文において、Muotri 教授は、患者の組織の遺伝子情報の解読や人間の脳細胞培養の高度な技術等、近年の21世紀の技術開発が、より適切なヒトモデルによってASDの基礎病理を解明する絶好の機会を作り出すと説明している。

Muotri教授は次のように述べている。「自閉症は多因子性のヒトの状態で、意義のある精度でマウスやサル等でこれを再現することは非常に困難である。自閉症の解明の進展を加速するために、今まで実施されてきたこの障害の研究方法からパラダイムを転換する時がきており、21世紀のヒト生物学を基盤としたモデルやツールに投資しなければならない。」

「動物を用いた研究では、ただでさえ遺伝的多様性のある疾患を、病態生理学上や医薬品に対する反応にあらわれる種特有の差異に加え、マウスの生物学的、神経学的、遺伝子的な構造という不明瞭なレンズを通して見ている状況になってしまう。自閉症を連想させる症状の幾つかをマウスで再現することは可能だが、ヒトの疾患のモデルとしては、この状況は不十分である。」

「しかし、近年の科学の進歩により、症状を適切な種、つまりヒトにおいて研究することができ、各患者固有のASDのために個別に薬を開発するという期待は現実味を帯びてきている。このようなことができれば、自閉症の研究を次の段階に進めることができ、過去40年間で目の当たりにした医療の進歩の速度をはるかに凌駕する可能性がある。」

実験動物の擁護者になり、ご支援をお願いします.

Muotri教授は、「歯の妖精プロジェクト(Tooth Fairy Project)」 というカルフォルニア大学における画期的な研究を指揮している。この研究では、自閉症の子どもたちの家族により寄付してもらった乳歯から幹細胞を抽出し、実験室で観察できるように、これらを完全に機能する脳細胞(ニューロン)に再プログラミングしている。これらの脳細胞には、それぞれの子どもたち固有の異常が現れ、各患者に現れる特定の病状のためにあつらえられた治療につながる可能性もある。「歯の妖精プロジェクト」には、現在3,500以上のASDの子どもを持つ家族が参加しており、遺伝子の解読により、自閉症に関連しているヒト遺伝子がすでに新たに5つ特定された。

この研究が進めば、自閉症の最も一般的な形態を理解するためのブレイクスルーとなることをMuotri教授は予見している。様々な種類の自閉症に共通する脳細胞の分子経路や細胞経路を解明し、創薬のための新たな標的を発見するという形でなされる。ASDの遺伝的、環境的な潜在要因が不明であるため、このような進め方が必要であると考える。

Muotri 教授は、脳研究の展望に変化をもたらしている科学や生物工学の最先端の発展について説明している。これらには、マイクロチップ上の3Dのヒトの「ミニ脳」のモデルや、細胞培養によるヒトの超小型神経回路等が含まれる。これらの最新の細胞モデルにが、ヒトの大脳皮質の発達、疾患モデルや創薬に関する機能的研究を促進させる。

ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル(Humane Society International, HSI)は毒性学や生命科学におけるヒト生物学を基盤とした研究の発展の促進をリードする団体である。神経学者であり生理学者でもある、HSIの上級科学アドバイザーのジル・ラングリー博士は、次のように述べている。「医学研究全体において研究の成功率を向上させるべきであり、このためには研究のパラダイムを現代化する必要がある。研究の概念的枠組みを根本的に再検討するべきであり、時代遅れで不自然かつ人工的な動物モデルから離れ、ヒトへの影響をより直接的かつ適切に研究できるヒト生物学を基盤とした高度な技術の開発への資金提供を優先させるべきである。21世紀の考え方を応用することにより、化学物質や製品の安全性試験に対する我々のアプローチはすでに変革されつつあり、疾患の研究においてもこれを徹底的に活用することにより、同様に広範囲に及ぶプラスの影響が期待できる。」

概要: 

自閉症スペクトラム障害は、重篤かつ生涯に及ぶ発達障害である。症状には、コミュニケーションや社会化の困難や、常同行動等が含まれる。 

動物モデルはよくても、複雑なヒトの疾患のほんの幾つかの側面しか再現できず、ASDにおいては、これは特に問題である。幾つかのノックアウトマウスのモデルでASDのような行動が欠如していることは、遺伝的背景や、免疫機構、神経回路において、ヒトとマウスには種固有の差異があることを反映している。マウスにおいては、遺伝子の突然変異が社会的行動を阻害するが、これらのほとんどがASDに直接関連していないと考えられている。反対に、患者にみられる多くのASDの突然変異はマウスには影響がないものであったり、ヒトの疾患とは異なる症状につながる。

近交系マウスに比べると進化上の関係性が近いため、非ヒト霊長類もASDを理解するために用いられている。最近の研究ではマカクザルに(ASDの特定の種類でみられる)突然変異遺伝子を挿入する研究等が行われている。このような新たな動物実験からメカニズムに関する理解は生まれていないが、新たな知見が生まれても、ヒトの脳が遺伝子発現をコントロールする方法には、他の種にみられない固有の要素があるため、意義のある結果となるとは限らない。

問い合わせ:

アメリカ: Raúl Arce-Contreras, rcontreras@humanesociety.org, +1 301-721-6440

欧州連合: Wendy Higgins, whiggins@hsi.org, +44 (0)7989 972 423

Muotriの研究室で行われている研究は、カリフォルニア再生医療研究所、国立衛生研究所、国際レット症候群財団及びヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナルからの助成金により実施されている。

Alysson Muotriは、カルフォルニア大学サンディエゴ校の小児科学及び分子・細胞治療の准教授である。Muotri博士は、1995年に生物学の理学士号をカンピーナス州立大学で取得し、2001年に遺伝学の博士号をブラジルのサンパウロ大学で取得している。2002年に、ソーク研究所にラテン・アメリカ特別研究員(Pew Latin America Fellow)として迎えられ、神経科学と幹細胞生物学におけるポストドクトラルのトレーニングを行った。2008年よりカルフォルニア大学サンディエゴ校の教員となった。Muotri 博士の研究室は、人工的に作られた多機能性幹細胞を用いて自閉症スペクトラム障害等の神経疾患のモデルを構築することに取り組んでいる。彼の研究室では、基礎研究や医薬品のスクリーニングのプラットフォームに用いることができる、ヒトのニューロンと神経膠を培養する技術をいくつか開発している。国立衛生研究所(NIH)のDirector’s New Innovative AwardやNARSAD及びEmerald Foundation Young Investigator Award等幾つかの賞も受賞している。

ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル


  • Sekiguchi/HSI

ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル(Humane Society International, HSI)が、参加者に自由にcruelty-freeな(動物に苦痛を与えない)化粧品を試してもらい、動物実験してない化粧品を普及するために、「思いやりのある美しさパーティー」を東京において開催した。イベントは、国会議員やメディア関係者、動物保護団体関係者等で賑わいをみせた。

参加者は、イベントに協賛したラッシュジャパンやミス・アプリコットや、その他動物実験をしていないブランドのザ・ボディショップ(株式会社イオンフォレスト)、ロゴナ(株式会社ロゴナジャパン)、ハーロウ! バーム(株式会社ディープ・フィールド・ジャパン)などのcruelty-freeな化粧品の無料サンプルを満喫した。国会議員や議員秘書らは、ブースにおいて動物実験していない素晴らしい化粧品を間近で体験し、最新の世界各国の規制や、インドやイスラエルなど既に化粧品の動物実験を禁止している国の状況について、#BeCrueltyFreeのキャンペーン担当者からの講演で知識を深めた。

HSIの#BeCrueltyFreeジャパンの山﨑佐季子は次のように述べている。「日本発のcruelty-freeな化粧品パーティーを開催できとても楽しかったです。日本においても、ぜひ政治家やその他関係者に、化粧品の動物実験を終わらせるという課題について協議していただければと思っています。多くの国会議員の皆様にとって、cruelty-freeな化粧品を試し、cruelty-freeな企業と、動物実験をせずに美容製品を製造することの倫理的な意義や安全性に関するメリットについて話を聞くことは初めてだったと思います。化粧品の動物実験は既にEU、イスラエル、インドで禁止されており、オーストラリア、ブラジル、ニュージーランド、台湾及びアメリカで禁止の法案が検討されている中、日本の政治家を巻き込んで、日本においても禁止について動き出す絶好の機会であったと考えています。」

株式会社ラッシュジャパンのチャリティー・キャンペーン担当の丸田千果は次のように述べている。「ラッシュは創業当時から、製造過程の全てにおいて動物実験を行わずに、フレッシュでオーガニックな野菜や果物を使い手作りしたバスアイテムやスキンケア商品を提案しています。2012年には動物実験廃止のため、科学的により優れた代替法開発の普及を促すためにラッシュプライズをUKで設立しました。今年度のラッシュプライズの授賞式には、アフリカやアジア、その他多くの国から受賞者がおり、ヨーロッパで始まった動物実験廃止の動きが世界各地に広がっていることを強く感じました。日本では、化粧品のために動物実験が行われていること自体の認知がまだまだ低いため、この#BeCrueltyFreeジャパンのイベントは、動物実験をしていない化粧品を実際に目にしていただく貴重な機会であったと思うとともに、日本も早く世界の流れに追いつきたいと思います。」

株式会社ミス・アプリコットの松原香苗代表取締役も次のように述べている。「『地球と、そこに住むすべての命を大切にしたい』ミス・アプリコットは、そんな想いから1989年に誕生した国産ナチュラルコスメで、今年で25周年を迎えました。設立当初から、倫理的にも問題がある動物実験をせず、今後も動物実験をしません。また、動物由来成分を使っていません。そのかわりに地域の自立を促すナチュラルで環境に優しい原料を可能な限り、使っています。そういった商品を求める日本の消費者のニーズは今後も増えていくと思います。ヨーロッパなど他国では既に一般常識となっている化粧品の動物実験への法的禁止が、日本でも早く実現される事を願っています。」
化粧品の動物実験に関する各国の状況:

  • 化粧品の動物実験は欧州連合の28カ国とノルウェー、イスラエルとインドにおいて法的に禁止されており、オーストラリア、ブラジル、ニュージーランド、台湾及びアメリカにおいて法案が検討されている。
  • 2014年6月に、中国において化粧品の規制が改正され、中国国内で製造された一般化粧品に対する動物実験の要件が廃止された。
  • 日本の法令では、一般化粧品については特段動物実験が義務付けられておらず、また禁止もされていない。したがって、現行の法令のもとでは、企業は動物実験を実施することを選択できるようになっている。新規の防腐剤やUV吸収材等、特定の新規の化学物質を用いる場合や、薬用化粧品(医薬部外品)において新たな原料を使う際等には、動物実験が求められている。
  • 日本においても、動物実験を終わらせることに対する消費者の支持は増加し続けている。現在までに、何百もの消費者が、支援を表明するために#BeCrueltyFreeの誓約に署名しており、ラッシュと日本国内の動物保護団体らとパートナーシップでHSIが実施した意識調査においては、9割近くが、化粧品企業に動物実験を必要とする原料を使ってほしくないと考えていることが明らかになった。
  • 日本においても多くのcruelty-freeの美容ブランドが路面店やインターネットで提供されている。ブランドのリストはこちらからダウンロードできる。

日本の消費者は、オンラインのBe Cruelty-Freeの誓約に署名することにより、化粧品の動物実験を終わらせることへの支持を表明することができる。

問い合わせ:
HSI 日本担当者: 東さちこ, 070-5584-9546, sazuma@hsi.org (日本語対応のみ)
        山﨑佐季子, syamazaki@hsi.org

注釈
Be Cruelty-Freeジャパンは、Be Cruelty-Free思いやりのある美しさキャンペーンという化粧品の動物実験を終わらせるための世界最大規模のキャンペーンの一部です。このキャンペーンはオーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、インド、韓国、ニュージーランド、ロシア及び台湾で展開されており、Be Cruelty-Free USAは、Humane Society of the United States により展開されています。
ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル(Humane Society International, HSI) 及びそのパートナー団体は、世界最大級の動物保護団体です。HSI は20年近くにわたり、科学、アドボカシ―、教育及び実践プログラムを通して全ての動物の保護に取り組んできました。
「世界中の動物に畏敬の念を示し、動物虐待に立ち向かう」ウェブサイト― hsi.org/becrueltyfree

ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナルの #BeCrueltyFree思いやりのある美しさキャンペーン は化粧品の原料も含む、化粧品の動物実験の完全な禁止を求めます

ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル


  • © imagebroker/Alamy

ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル(Humane Society International, HSI)#BeCrueltyFree思いやりのある美しさキャンペーンは、多くの動物実験に関する提案が盛り込まれた韓国農林畜産食品部の動物福祉に関する五ヵ年計画案を歓迎した。しかし、#BeCrueltyFree キャンペーンは、完成品と原料双方を含む化粧品の動物実験の完全な禁止を求めて、韓国政府に働き掛けを続ける予定である。

計画は、ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル、Korea Animal Rights Advocates(KARA) やその他の関係者による、規制の現代化を求める数年間におよぶ国内におけるロビー活動の末公表された。計画には、たばこやアルコール等の分野の毒性試験における動物実験の禁止や、すでに代替法の存在する試験における代替法の使用の義務付けや、化粧品の完成品と原料の双方の動物実験の段階的な禁止等の提案が盛り込まれている。

しかし、盛り込まれている提案はいずれも合意が形成されておらず、この後、食品医薬品安全処、教育部及び未来創造科学部により検討されたものが最終版となる。また、韓国では化粧品の完成品に対する動物実験は実質廃止されていること、原料に対する動物実験の禁止についてタイムラインが示されていないこと、動物を使用しない代替法の存在が禁止の条件となるのかが不明瞭であること等、提案された化粧品の動物実験の禁止の効果については疑問が残る状態である。

HSI#BeCrueltyFreeキャンペーン・ディレクターのクレア・マンスフィールドは次のように述べている。「農林畜産食品部の五ヵ年計画は大きな進歩であり、ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナルの、代替法に対する予算の増加と毒性学試験における代替法の使用を求めるための数年間に及ぶロビー活動が実際に効果を及ぼし始めていることを示すできごとであると思います。韓国における化粧品の完成品に対する動物実験の禁止は重要であり、我々の勝利を象徴するようなできごとでありますが、中国市場で販売するための動物実験以外、化粧品の完成品に対する動物実験は、世界各国の化粧品業界において10年以上前から行われていないため、これによって動物の命が救われることはほとんどないでしょう。

必要なのは、HSIが取り組んでいるような化粧品の原料に対する動物実験の禁止です。原料に対する動物実験こそが多くの動物の犠牲を伴う部分です。提案された禁止について正式な合意が形成でき、重要な化粧品の原料に対する動物実験の禁止が成立し、これらができる限り早い段階で施行されるよう、HSIは農林畜産食品部や食品医薬品安全処に働きかけています。」

韓国の化粧品業界もHSIと同様の懸念を示している。Daily Cosmetic journal において、韓国化粧品協会は、完成品に対する動物実験の禁止の効果は限られたものとなるとし、次のように説明している。「加盟企業を対象に、化粧品の動物実験に関するアンケート調査を実施した。調査対象の内106社が化粧品の動物実験を実施していないと回答した。」

 

ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル


ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル


  • 皆様のご支援のもと、動物実験に終止符を打ちます。Alamy

ヨーロッパの化学物質の規制であるREACH (Registration, Evaluation and Authorisation of Chemicalsの略)は、 動物実験は「最後の手段」としてのみ実施するという決意に加え、可能な限り動物の使用を削減及び代替するために試験要件をこまめに見直すという法的義務を含む。

2012年の4月に、HSIは、何百万匹もの動物を救うと同時に化学物質の監視体制のレベルを維持できる、REACHの試験要件の見直しに関する包括的な提案を欧州委員会に提出した。そして、2年半以上の期間に渡る働きかけの結果、EUは、HSIにより提案された改正を化学物質の規制に組み込むべく、ついに動いた。

我々が今まで達成した事項と、これから2020年まで、これらの改正が動物にどのような影響を及ぼすかについて、下記の表にまとめた。

動物を用いた試験

改正内容

救える動物の数

急性経皮毒性試験

 ほぼ完全に代替

 ウサギまたはラット15,000 1

生殖毒性試験

 使用動物を削減できる代替法

 ラット2,400,000 2

皮膚刺激性試験

 ほぼ完全に代替

 ウサギ8,2503

眼刺激性試験

 ほぼ完全に代替

 ウサギ13,500 4

皮膚アレルギー

 完全に代替できる可能性あり

マウス 218,750 5

 

 

 2,665,500 の命を救うことができる


我々はここで歩みを止めない。HSIは、EUに対してさらに命を救えるような改正を採択し、時代遅れの動物実験を最先端の代替法に代えるように積極的に働きかけている。我々の重要な取り組みに、ぜひご支援をお願いします。


12018年までに登録される25,000の化学物質の3%において、20匹のラットまたはウサギを使った急性経皮毒性試験が必要とされる場合。
22018年までに登録される25,000の化学物質の8%において、二世代生殖毒性試験ではなく、延長一世代生殖毒性試験が必要とされ、結果、化学物質一つにつき1200匹のラットの命が救える場合。
32018年までに登録される25,000の化学物質の11%において、ウサギ3羽を用いた皮膚刺激性試験が必要とされる場合。
42018年までに登録される25,000の化学物質の18%において、ウサギ3羽を用いた眼刺激性試験が必要とされる場合。
52018年までに登録される25,000の化学物質の35%において、マウス25匹を用いた皮膚感作性試験が必要とされる場合。

現代の医科学研究の有効性はいかに

ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル


研究施設での動物実験に使われる動物の最も大きな割合を占めるのが生命科学の基礎研究及び応用研究であり、世界中の動物実験が年間115万匹の動物を犠牲にしていると推定されるうち、その3/4を占めている。疾患の病態生理を研究するためであれ、医薬品や治療法の開発や有効性の研究をするためであれ、これらの分野では動物でヒトの疾患のモデルを構築しようという試みが多く、動物の苦痛という観点からは、これらの試みは最も重篤な動物実験と位置づけられている。マウス、ラット、ウサギ、犬やサルなどの動物において人工的に症状を作り出してヒトの疾患を再現しようとする方法には、重大な科学的な限界があり、動物にみられる症状や試される治療方法に対する反応は、人間の患者のものと異なる場合が多い。

 

喘息の研究を、動物を用いない方法へ転換する—”21世紀の科学に向けて

Drug Discovery Today, Volume 16, pages 914-27, November 2011
Gemma L Buckland

喘息の発生率は増加しており、研究を求める声も増えているが、喘息は未だに完全に理解されていない疾患の一つである。喘息に関する研究においては多くの動物が使用されてきた。しかし、インビトロ(試験管内)やコンピューターモデルが着実に進歩しており、代替(Replacement)、削減(Reduction)、改善(Refinement)3Rの原則をよりしっかりと取り入れる必要性が生じている中、喘息に関する研究のパラダイムを再評価しなければならない時期にきていると考える。動物を用いない研究技術は、コミットメントと統合が必要な段階にきている。 続きはこちらから(英語の原文へ) »
 

 

動物の疾患モデルはヒトに関する研究の信頼できる知見につながるか

PLoS Medicine, Volume 7, page 514, March 2010
H Bart van der Worp, David W Howells, Emily S Sena, et al.

動物実験は、疾患のメカニズムの理解に大きく貢献してきた。しかし、臨床試験における治療の戦略の効果の予測となると、その価値は未だに議論されている。実際、動物を用いた研究によりヒトにおいてどのような反応があるかについて確実に予測できないため、臨床試験が必要不可欠なわけである。7つの影響力の高い主要な学術誌に掲載された動物を用いた研究をレビュー(評価)したところ、人間に対する無作為化試験の段階まで進んだ研究の1/3、そして治療が実際に実施されたものの1/10で、その後患者に対する使用が承認されたと報告されている。しかし、レビューされたこれらの研究は影響力が高いものばかりであり(平均引用数が889)、これよりも引用数の少ない動物を用いた研究は、臨床現場で応用できる可能性はさらに低いと考える。 続きはこちらから(英文の原文へ) »
 

 

実験的アレルギー性脳脊髄炎: 誤解を招きかねない多発性硬化症のモデル

Annals of Neurology, Volume 58, page 939-45, 2005
Subramaniam Sriram and Israel Steiner

何年にも及ぶ徹底した研究にもかかわらず、多発性硬化症(MS)に対する理解は進んでおらず、その治療方法も十分ではない。多発性硬化症については、免疫介在性の疾患であり、実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)が、病因を明らかにし、治療法を確立するためには適切なモデルであるという仮説が主流である。本レビューでは、実験的アレルギー性脳脊髄炎の、多発性硬化症の動物モデルとしての適切性と有効性が妥当であるかについて批評的に検討し、信頼性のある科学的根拠が不十分であることを明らかにする。実験的アレルギー性脳脊髄炎は、多発性硬化症に相当するものというよりも、急性の中枢神経系の炎症のモデルであると考える。特に実験的アレルギー性脳脊髄炎モデルが治療方法の特定に使われている場合において、このモデルの使用を再検討すべきであることを提言案する。この方向性は、実験的アレルギー性脳脊髄炎のしがらみを受けず多発性硬化症を検証することにもつながり、多発性硬化症がどのように捉えられているかではなく、その本質を解明することにもつながる。 続きはこちらから(英文の原文へ)  »
 

 

鬱病のマウスを求めて: 遺伝子組み換えマウスにおける鬱病関連の行動の研究のためのモデルの有用性

Molecular Psychiatry, Volume 9, page 326-57, 2004
JF Cryan and C Mombereau

遺伝子組み換えマウスを作る技術は現代医学において飛躍的な前進を可能にした技術で、精神医学を含めるあらゆる分野に影響を及ぼした本レビューは、マウスにおける鬱病に関連した新規標的を検討することを目的とした既存のモデル(強制水泳試験、尾懸垂試験、嗅球摘除、学習性無力感、慢性軽度ストレス、薬物離脱により誘発された無快感症等)や研究戦略に焦点を置いた。このようなモデルの有用性を検証するために鍵となるとされる問いに焦点を置いた。さらに、遺伝子組み換えマウスにおいて、臨床的鬱病に関係がある変化が起きるかに関するヒントを得られる可能性のある、他の研究手段についても概観する。 続きはこちらから(英文の原文) »
 

 

動物を用いた実験が人間にとって有用である科学的根拠はどこか

British Medical Journal, Volume 328, page 514, February 2004
Pandora Pound, Shah Ebrahim, Michael B Bracken, Ian Roberts

多くのヒトの治療法となりうる取り組みに関する動物を用いた研究は、適切に実施されておらず、システマティック・レビュー(系統的な文献検討)により評価されていないので、無駄になっていると言える。

臨床医や一般社会は、動物実験がヒトの疾患の治療に貢献していることを公理のように信じているが、この見方を支持する科学的根拠は少ない。基礎的な動物実験の重要性や臨床への適用を評価するための方法は少なく、そのため動物実験の臨床(科学ではなく)への貢献は未だに定かではない。正当化のためには、事例証拠(逸話)や根拠のない主張が使われることが多い。例えば、動物実験の必要性は「明白」である、「動物実験は長年の利用でその有用性が証明された価値のある研究方法である」等の発言が使われている。このような発言は、このように論争の的になっているような研究方法に対しては不十分な科学的根拠であると言える。既存の研究と今後の研究に対するシステマティック・レビューの必要性を論じる。 続きはこちらから(英文の原文»

動物実験をしていない化粧品のショッピング・ガイドを公表

ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル


  • Stock

[東京 201498] 口紅やシワ取りクリーム等、店頭の商品棚に並ぶ美容製品の多くに動物実験が実施されていることをどれだけの消費者が知っているだろうか。衝撃的であるが、化粧品のための動物への残虐な行為は、日本を含む約8割の世界各国で未だ合法である。しかし、ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル(Humane Society International, HSI)から、朗報がある。HSIの新たな思いやりのある美しさのための#BeCrueltyFree ガイドを使えば、動物に苦痛を与える製品を選らばずして買い物をすることができるようになる。 

我々は消費者として、買い物かごに入れる商品を選ぶことによって、動物のために立ちあがることができる。Cruelty-freeな(動物に苦痛を与えない)化粧品のみを購入することにより、化粧品に使われる化学物質を目に点眼されたり、致死量を強制経口投与されるウサギやモルモット等の動物を救うことができるのである。

#BeCrueltyFree は、世界中で化粧品の動物実験を終わらせるための、有力なグローバルなキャンペーンである。#BeCrueltyFree Japan のショッピング・ガイドは、最も厳格なcruelty-freeの基準を順守している企業のみを記載したもので、カットオフ期限後に動物実験を実施または委託したり、動物実験が実施された原料を購入したりしていない企業のみが含まれる。ガイドには、オーブリーオーガニクス(Aubrey Organics)、ブルドッグ・ナチュラル・グルーミング(Bulldog Natural Grooming)、キス・マイフェイス (Kiss My Face)、ポールミッチェル (Paul Mitchell)、シカイ(Shikai)等の企業が名を連ねている。 日本で購入できる製品のショッピング・ガイドはこちらから。

HSIBe Cruelty-Free ジャパンのキャンペーン担当の山﨑佐季子は次のように述べている。「Cruelty-freeな化粧品を買うという行為は、消費者が最も簡単かつ効果的に動物実験反対の意を示せる方法です。こうすることにより、日本の消費者が、美容製品のためにウサギなどの動物を犠牲にしたくないと思っているという力強いメッセージを、動物実験を実施している企業に送ることができるのです。日本でも、インターネット通販や店頭販売で、動物に苦痛を与えず製造されているさまざまな製品が販売されているので、簡単にcruelty-freeなブランドを支援することができます。我々#BeCrueltyFreeのチームは、化粧品の動物実験を終わらせるため、政治家に対するロビー活動を実施したり、企業や科学者と打ち合わせをしたり、毎日様々な活動に取り組んでいます。このような中、買い物をする際に、思いやりのある選択をすることにより、消費者の皆様にも手伝っていただけることを心強く思います。」

日本の法令では、一般化粧品については特段動物実験が義務付けられておらず、また禁止もされていない。したがって、企業は動物実験を実施することを選択できるようになっており、多くの企業が未だに動物実験を実施している。また、一般化粧品を製造している企業には、新規の防腐剤やUV吸収材等、特定の新規の化学物質を用いる場合等に動物実験が求められる。薬用化粧品(医薬部外品)においても、新たな原料を使う際に動物実験が求められている。

日本の消費者は、こちらから #BeCrueltyFreeの誓約に署名することにより、化粧品の動物実験のない世界への支持を表明することができる。

以上

問い合わせ:

HSI 日本担当者:  山﨑佐季子, syamazaki@hsi.org

                    東さちこ, 070-5584-9546, sazuma@hsi.org (日本語のみ)

注釈

Be Cruelty-Freeジャパンは、Be Cruelty-Free思いやりのある美しさキャンペーンという化粧品の動物実験を終わらせるための世界最大規模のキャンペーンの一部である。HSIのこのキャンペーンはオーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、インド、韓国、ニュージーランド、ロシア及び台湾で展開されており、Be Cruelty-Free USAは、Humane Society of the United States により展開されている。

ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル(Humane Society International, HSI) 及びそのパートナー団体は、世界最大級の動物保護団体です。HSI 20年近くにわたり、科学、アドボカシ―、教育及び実践プログラムを通して全ての動物の保護に取り組んできました。「世界中の動物に畏敬の念を示し、動物虐待に立ち向かう」ウェブサイト― hsi.org/becrueltyfree

ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル


  • iStock

Be Cruelty-Free: 化粧品の動物実験を終わらせる

Be Cruelty-Free 思いやりのある美しさキャンペーンは、ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナルによるグローバルなキャンペーンで、既にオーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、ヨーロッパ、インド、日本、韓国、ニュージーランド、ロシア及びアメリカの12の主要な化粧品市場において、公共政策面の変革を促しています(アメリカのキャンペーンは姉妹団体であるHSUSにより展開されています)Be Cruelty-Freeキャンペーンは、各国のパートナー団体及び、cruelty-freeな(動物に苦痛を与えない)化粧品企業、消費者、規制当局、科学者と協働し、人道的なイノベーションをグローバルなベスト・プラクティスにすることを促進し、化粧品のために動物が苦しまなくてもよい世界を作ることを目指しています。

中国と化粧品の動物実験について

化粧品の動物実験は、欧州連合、ノルウェー、イスラエル及びインドにおいて禁止されています。Be Cruelty-Free によるキャンペーンの成果があり、オーストラリア、ブラジル、ニュージーランド、台湾及びアメリカにおいて、化粧品の動物実験の実施と動物実験された化粧品の販売を禁止する法案が提出されています。しかし、中国では、国内で新たに販売することを予定している化粧品のサンプルを政府に提出することが、法律により義務付けられています(提出後に実施される試験は、主に動物を用いたものです)。これに加えて、中国政府は、化粧品に対して、市販後の動物実験も実施しています。

630日からどのように変わったのでしょうか ?

Be Cruelty-Free チャイナのキャンペーン後、2013116日に、中国食品薬品監督管理局は、国内で新たに製造された一般化粧品の動物実験の要件を廃止することを含め、化粧品規制の枠組みを現代化することを公表しました。これが、2014630日に施行されています。

ということは、中国は化粧品の動物実験を禁止したということでしょうか?

禁止はされておらず、この最終目標のため、Be Cruelty-Freeチャイナはキャンペーンを続けていきます。しかし、中国が化粧品の試験に関する規制を改正したのは20年ぶり以上だったので、大きな進歩であることは確かです。

では、改正は何を意味しているのでしょうか?

2014630日から、一般化粧品を中国国内で製造している企業は、新たな製品に対して動物実験を実施したり、動物を用いた試験を実施するために、中国政府に新しい製品のサンプルを提供する必要がなくなります。動物実験の代わりに、有用性が評価され、国際的に認められた、動物を用いない試験方法により得たデータを含む、原料の安全性データを用いた製品のリスク・アセスメントを提出することができるようになります。

これは全ての化粧品に適用されるのでしょうか?

いいえ。中国国内での販売するために中国本土の外で製造された化粧品には、この改正は適用されません。毛髪染料、制汗剤、日焼け止めや美白製品等、「特殊用途化粧品」にも適用されません。

Cruelty-freeな企業が中国において製品を販売できるようになったということでしょうか?

いいえ。まず、この改正は、中国での販売のために中国国内で製品を製造する企業にのみ適用されます。Cruelty-freeな企業のほとんどにとって、中国国内で製品を製造するという選択肢はありません。第三国から中国に輸入された化粧品には改正が適用されていないため、海外のcruelty-freeな企業には、改正後も、市販前の完成品に対する動物実験が義務付けられることとなります。この市販前の要件の例外となる可能性があるのは、海外の企業が中国国内に全ての原料を輸入し、中国国内で製品を製造し、国内で製造された製品の中国政府の定義を満たした場合です。しかし、このような生産規模での製造は、ほとんどの企業にとって実行不可能な選択肢です。さらに、個別の原料については、政府の正式な化粧品の既存原料リスト(Existing Cosmetics Ingredients in ChinaIECIC)に記載されているものでなければ、動物実験を避けることはできません。

これに加えて、市販前の試験に関する規制が改正されても、中国政府は未だに化粧品に対する市販後の動物実験を実施しています。この市販後の動物実験では、中国政府は無作為に化粧品を選択し、店舗の棚から撤去し「確認」の動物実験が実施されます(例えば、消費者に対して販売されている製品が、販売が承認された配合と同じであることを確認するために実施)。中国政府は、消費者の保護を一定レベルに保つために、国内で製造された一般化粧品に関する630日の規制改正後に、市販後の試験体制を強化する考えを示しています。このため、市販前の動物実験を回避できても、市販後の動物実験を回避できる保証はなく、市販後に製品に動物実験が実施される可能性は依然として高いのです。HSIは、この体制が変わらない限り、cruelty-freeな化粧品企業は、cruelty-freeであると称して中国で販売することができないと考えています。

インターネット商取引はどうなるのでしょうか?

インターネット商取引のウェブサイトとフルフィルメント(受注・発送を行う業務地)が中国本土の外にあり、消費者がそのウェブサイトを通して購入し、消費者に直接郵送される化粧品については、市販前と市販後の試験の要件は適用されません。なので、cruelty-freeな企業はウェブサイトを通してであれば、動物実験の心配をすることなく、中国の消費者に製品を販売することができます。

中国の空港での製品販売はどのように扱われるのでしょうか?

中国政府は、空港の免税店で販売されている化粧品の動物実験を明確に免除していませんが、実際には市販前の動物実験は回避することが可能です。しかし、市販後の動物実験の実施については、慣例的に回避できるということはありません。なので、中国の空港の免税店で販売されている化粧品は、中国政府による無作為の販売後の動物実験の対象となるリスクがあり、前述した通り、630日から市販後の試験の体制が強化される可能性があります。このような理由から、cruelty-freeな化粧品企業は、中国の空港で製品を販売し、関知できない動物実験も含み、製品に絶対に動物実験が実施されないということを保証することはできません。

改正に伴い、中国国内で製造販売している海外の化粧品企業はcruelty-freeになることができるのでしょうか?

二点の理由から、そのようにはなりません。まず、市販前の動物実験を回避するためには、企業は、1) 「一般化粧品」のみを製造し、2)  政府の正式な化粧品の既存原料リスト(Existing Cosmetics Ingredients in ChinaIECIC)に記載されている原料のみを使い、3) 既存の原料のデータを元に製品の完全なリスク・アセスメントを実施できなければなりません。Cruelty-freeな企業は、何千もある既存の安全な化粧品の原料を用いて新たな動物実験を実施せずに新製品を開発しています。しかし、これらの原料全てが2014年版のICCECに記載されているわけではないので、中国以外の各国で安全に使用されている経歴があっても、安全性を示す書類を用意しなければ中国国内で原料を使用することができず、中国の規制要件を満たすためには動物実験を実施する必要が生じてくる可能性があります。これは特に、市場において有利になるために「世界的に新しい」原料を開発または購入することを選択している、市場をリードするような化粧品ブランドに当てはまります。このような原料には、安全性に関する既存のデータがなく、慢性的健康被害を含む、規制当局により求められる、全ての毒性学的エンドポイントについて動物を用いない試験方法があるわけではありません。また、現在ある全ての動物を用いない試験が中国により受け入れられているわけではありません。このような理由から、新規の化学物質については、中国の規制に従って何らかの新たな動物実験がいや応なく実施されることとなります。そして、これに加えて市販後の動物実験の問題もあります。

要約すると、630日以降中国ではどのような動物実験が義務付けられるのでしょうか?

新たに輸入されるシャンプーや口紅等の「一般化粧品」全てに関し、下記の特定の試験を含む、中国の研究所による市販前の動物実験が義務付けられます。

  • 眼刺激性試験
  • 急性皮膚刺激性試験
  • 反復皮膚刺激性試験

中国国内で販売するために一般化粧品を製造している中国企業は、原料のデータにより製品の安全性を実証することができれば、新たな動物実験をせずに、規制上の完成品の安全性に関する要件を満たすことを選択することができます。これはほとんどの国では慣例となっていますが、中国で許可されたのはこれが初めてなので、中国企業が原料ベースのリスク・アセスメントを実施するための訓練や経験を持っているかは不明です。さらに、既存のデータがない新規の原料を使った場合、動物実験が義務付けられます。

海外から輸入された、または中国国内で製造された特殊用途化粧品については、全ての完成品に対して、下記の試験が義務付けられています。

  • 眼刺激性試験 
  • 急性皮膚刺激性試験
  • 反復皮膚刺激性試験
  • 皮膚感作性試験
  • 皮膚光毒性試験 (インビトロ(非動物実験)でもインビボ(動物実験)でも可)

動物実験を実施する必要が全くないのは、輸出するために中国国内で製造されている「一般化粧品」のみです。

中国における化粧品の動物実験が廃止されなかったのに、何故この規制の改正が重要なのでしょうか?

動物実験から離れ、正しい方向に向かうための変化を中国政府が受け入れることを示しているため、この改正はとても重要なものと言えます。中国における変化は、必然的に他の国よりは遅いペースで、劇的な変化というよりは段階的な変化になります。しかし、この規制改正は、中国にとって、化粧品規制関連では20年ぶり以上の実質的改正です。動物実験から徐々に離れつつあるグローバルな流れの中で、中国において化粧品のために行われる残虐な行為を終わらせるための、何段階にも及ぶ旅の第一歩として捉えることが重要です。

Be Cruelty-Free チャイナにとって次のステップは何でしょうか?

我々の長期的な目標は、中国の動物実験を完全に終わらせることであるということは変わりません。キャンペーン上、次の優先事項は、WTO(世界貿易機関)が定る通り、全ての企業にとって平等な条件となるよう、今回の中国の規制改正が海外から輸入された「一般化粧品」にも適用されるようにすることです。主要な市場において「一般化粧品」と「特殊用途化粧品」の規制上の定義に一貫性を確保することにより、非科学的な貿易の障壁となってしまう不必要な動物実験をさらに最小限にとどめることができます。これに加え、HSIは、最新の動物を用いない試験方法へのアクセスとトレーニングを強化するために、規制当局との協働を続けます。

中国食品薬品監督管理局は、HSIに対して、数年のうちに上記のような規制の適用範の拡大を検討することを示唆しています。さらに、HSIは、未だに続いている市販後の試験における動物の使用を廃止するためのキャンペーンも展開します。最終的には、欧州連合、ノルウェー、イスラエル及びインドにおいて実施してきたように、中国における化粧品の動物実験の完全禁止が施行されるように政策立案者に働きかけます。

ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル(Humane Society International, HSI) 及びそのパートナー団体は、世界最大級の動物保護団体です。HSI 20年以上にわたり、科学、アドボカシ―、教育及び実践プログラムを通して全ての動物の保護に取り組んできました。「世界中の動物に畏敬の念を示し、動物虐待に立ち向かう」ウェブサイト― hsi.org/becrueltyfree 

ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル


  • 日本の消費者は、オンラインのBe Cruelty-Free の誓約に署名することにより、化粧品の動物実験の廃止への支持を表明することができる. Adam Gault/Getty Images

東京 — 日本の化粧品ブランドのミス・アプリコットが、ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル(Humane Society International, HSI)の化粧品の動物実験を終わらせるためのキャンペーンである、Be Cruelty-Free 思いやりのある美しさキャンペーンへの支援を表明する初の日本企業となった。

Cruelty-free (動物に苦痛を与えない)かつビーガン(動物由来成分が入ってない)対応の商品を作っているミス・アプリコットは、日本において、化粧品の動物実験における法的規制がない現状について、オンライン・メディアやソーシャル・メディアを活用しつつ消費者の意識の向上に貢献することになり、ラッシュやバリーエム等、グローバルにキャンペーンを支援する企業の仲間入りを果たすこととなる。

ミス・アプリコットの松原香苗 代表取締役は次のように述べている。「動物、人、そして地球への優しさはミス・アプリコットの理念の根底にあるので、Be Cruelty-Freeジャパンはそれにぴったりのキャンペーンです。動物実験は動物に苦痛を与えるものですし、信頼性が低い試験方法なので、消費者にとっても決して良いものではありません。動物実験をしていなくても、日本古来より使われ効果が確認されてきた植物エキスや、伝統的にスキンケアやヘアケアに効果を発揮してきたハーブなどの植物の力を借りて、安全で効果の高い製品を作っています。日本における化粧品のための動物への残虐な行為に終止符を打つべく、我々のお客様も、Be-Cruelty Freeを熱心にサポートしてくださると思います。」

松原によると、1989年に設立されたミス・アプリコットは、環境に優しく、全ての命を尊重するという理念を持ち、設立時から動物実験を実施していない。市民団体のcruelty-freeな化粧品に対する要望を受けて、日本で初めて「動物実験していない」化粧品会社として設立に至った。設立当初から発展し、現在、ミス・アプリコットの製品は、日本全国のオーガニック商品を取り扱う店舗等で販売されている他、オンラインでも販売している。

Be Cruelty-Free キャンペーンが日本の業界関係者を巻き込み教育できるよう、ミス・アプリコットは、消費者教育に加えて、卸業者や取扱店等を対象として勉強会も検討している。

HSIのBe Cruelty-Free ジャパンのキャンペーン担当の山﨑佐季子は次のように述べている。「ミス・アプリコットのような、完全にcruelty-freeでエシカルな化粧品ブランドにご支援いただけることを大変うれしく思っています。動物が虐待されない化粧品に対する日本の消費者の需要から生まれた企業の良い例です。化粧品のための試験で動物が不必要に苦しんでいることを知ると、消費者はこの行為の禁止を求めるようになるということを示していると思います。さらなる消費者の意識向上を目指し、ミス・アプリコットと協働させていただけることを楽しみにしております。」

2013年にラッシュジャパンが実施した意識調査によると、動物実験が実施された化粧品の原料を使ってほしくないと思っている回答者が9割近くいることが明らかになった。

Be Cruelty-Freeジャパンは、化粧品の動物実験を終わらせるための世界最大規模のキャンペーンの一部である。現在キャンペーンは、オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、インド、韓国、ニュージーランド、ロシア、台湾及びアメリカで展開されている。

日本の消費者は、オンラインのBe Cruelty-Free の誓約に署名することにより、化粧品の動物実験の廃止への支持を表明することができる。

以上

問い合わせ:

HSI 日本担当者: 東さちこ, 070-5584-9546, sazuma@hsi.org (日本語対応のみ)

                         山﨑佐季子, syamazaki@hsi.org

HSIイギリス: Wendy Higgins, +44 (0)7989 972 423, whiggins@hsi.org (英語対応のみ)

ミス・アプリコット: 松原香苗, 046-874-5270, hello@miss-apricot.com

注釈

 

ミス・アプリコットは、エコロジカルな点に立った独自の商品を開発するナチュラルコスメブランドとしてラビットマクをつけた独自の商品で1989年に生しました。イノチがヨロコブライフスタイルを提案し、あふれるかな地球を次世代へえていきたいと考えます。ウェブサイト― http://www.miss-apricot.com

Learn More Button Inserter