ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナルと韓国動物実験代替法学会が21世紀の動物実験の代替法に関するフォーラムを韓国で開催

化学物質の安全性試験を現代化するために: 将来に向けてヒト生物学を基盤としたアプローチに投資

ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル


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今週、ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナルと韓国動物実験代替法学会が主催したフォーラムにおいて、政府、業界及び科学関係者が、韓国における化学物質の試験を改善させると同時に動物実験を代替もしくは削減できるような、最先端の試験方法について協議した。Sangjeong Sim議員及びJungrim Moon議員により支持され、韓国の大手化粧品企業であるアモーレ・パシフィックや、韓国毒性学研究所等からの報告を伴った今回のフォーラムでは、韓国の化学物質の規制やK-REACHを最新の状態にすることや、安全性試験における21世紀のアプローチへの投資の必要性について協議された。 

21世紀毒性学とは、生体工学技術により作られたチップ上の臓器、自動ロボットによる高スループットのヒトの細胞や遺伝子の試験や、次世代のコンピューターを用いたモデル等、細胞や分子レベルで人体において化学物質がどのように作用するかに関する研究を可能にし、世界中で安全性試験に変革をもたらしている、革新的な、ヒトへの影響を直接評価することができるツールである。研究の質を高めると同時に、動物実験を完全に代替できる可能性も持つこれらの方法は、アメリカやヨーロッパで先駆けて開発されており、従来の動物実験と比較してわずかな時間と費用で結果を出すことができるものである。
 
2007
年に、全米科学アカデミーが、従来の動物実験から離れ、安全性評価及びリスク評価に関する新たなアプローチの模索を呼び掛けた、「21世紀の毒性学: ビジョンと戦略」という報告書を公表した。この報告書を受けて、これらの現代技術を活用するための研究のイニシアチブが世界各国で次々と開始された。

しかし、韓国においては、代替法に関する投資はまだまとまりがなく、化粧品の動物実験を制限する法案の国会承認に先立ち、主に化粧品業界内のものに集中している。今年の一月に施行されたK-REACHが動物実験を最小限に抑えることを求めているにも関わらず、国際的に評価され受け入れられている代替法がある箇所においても時代遅れの動物実験を求める要件が規定されており、特に韓国の化学工業において代替法の活用を促進する必要がある。

ヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナルの研究・毒性学部門のディレクターのトロイ・サイドルは次のように述べている。「韓国の行政の様々な部処庁の長官が集まり、代替法のポテンシャルや韓国における研究基盤が遅れを取らないようにするためにはどのような策を講じるべきかについて協議したのは今回が初めてです。現代科学は、我々が化学物質や製品の試験を実施する方法を変革しうる可能性を持つ新たなツールを作り出しており、韓国の産業界においてこれらの技術を促進させるためには、政府の支援は必須となります。」

アモーレ・パシフィック、ケムオン及び韓国動物実験代替法学会からの専門家により、化粧品業界や化学工業における代替法の概要について講演があり、韓国毒性学研究所からは、経済開発協力機構(OECD)、アメリカや欧州連合(EU)により、レギュラトリー・トキシコロジーにおいて鍵となると認められている、有害転帰経路(AOP)の開発の重要性について講演が予定されている。サイドルは、OECDEUREACH規則に対して動物実験の代替法について専門家として助言をしており、安全性科学と保健医療関連の研究を発展させるための知見を提供した。

韓国動物実験代替法学会のYongjin Chun教授は次のように述べている。「研究のための予算確保や政治的支援を得るため、このフォーラムが代替法の開発の重要性を認識する機会となってくれることを願っています。」

問い合わせ:  Borami Seo, bseo@hsi.org

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